「滞在型インターンシップ」でシゴトを、土地を、自分自身を知ろう!
夏が過ぎ、2018年春卒業予定の大学生・専門学校生、俗に言う「18新卒」の就職活動も、初動のエンジンが温まりつつある今日この頃。
現大学3年生の皆さんはじめ、2018年春卒業予定の学生の皆さんは、企業見学や夏季インターンシップへの参加など、来年度の本格的な就職活動とご自身の将来に向けた、“来年度になってからではできない下準備”のために東奔西走しておられる頃でしょうか。
数あるインターンシップの中でも、今イチオシなのが「滞在型インターンシップ」!
働く場所や土地に飛び込んで滞在することで、学生生活の中だけでは得ることのできない『社会(現場)とは何か』を知り、『仕事とは何か』を体験し、『自分自身の社会人としての適性』を知る事に加えて、“プラス”、実際にご自身が働いて暮らすことになる『土地』を見聞きし、そこに暮らす『人々や人の思い』を実体験することのできる「就業経験(Work experience)」です。
実際に就業する上で切っても切れない関係性にあるのが、暮らしや利便性、風土や気候!
新卒生の就職活動に限らず、移住や転職を考える既卒者や若手社会人の皆さんも、実際の土地を知り、複数企業を回ることのできる「滞在型インターンシップ」によって、就業のミスマッチを削減し、意義の深い就職活動を実践してみませんか?
基本をおさらい。インターンシップとは何か?
インターンシップを、就職のための単なる点数稼ぎと思っていたら大間違い!インターンシップの意味を理解せずに参加していると初手から失敗します。
ですので、まずはインターンシップの基本からおさらいしましょう。
■インターンシップ(Internship)とは?
特定の職の経験を積むために、企業や組織において労働に従事している期間のこと。
(引用元:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/インターンシップ)
<概要>
インターンシップとは、1906年にアメリカで提唱され、同国から始まった、学生のための就業訓練制度です。
日本において「社会経験」と評されることもあるように、原義では、企業が学生に職場を体験させることによって、卒業までの間に技術や知識を入社時に必要な水準まで引き上げることを目的としています。
いわば、企業が学生に経験を積ませるための土台作りの意味合いが強く、この傾向の強い発祥国アメリカでは、150万人いるインターンの内、3分の1〜半数は無給(ボランティア)で就労経験を積んでいるといわれています。
(2015年8月の論文より http://www.oecd.org/employment/interns-are-workers-too.htm)
学生のうちから自分が将来働きたい職場で現場の一員として経験を積むことができるため、『実践』により近い『学び』を得られることが、インターンシップの最大の特徴でありメリットです。
<傾向はあるの?>
景気と時代の変動や人々の感じ方や考え方の変容によってインターンシップのトレンドも移り変わります。
現在、日本国内では現在、「見学型インターン」が主流となっていますが、海外では「参加型」のインターンシップが主流です。
また、日本では、長い不景気や求人倍率の増加の影響もあって新卒採用を行う企業の意識も変化しつつあり、実際に採用を行う企業側から見たインターンシップは、「見学型インターン」の形を取りつつも、現場で通用する『即戦力を“育てる”』「育成型インターンシップ」から、『即戦力を“発見する”』「発掘型インターンシップ」へと変化してきています。
<いつやるの?>
日本では、大学生ですと3年次の夏・春の長期休暇を利用してインターンシッププログラムに取り組むことが主流で、3年次後半から本格化する就職活動に先駆けて就業体験を積むことによって、自身の就労イメージを掴んだり、就業の訓練や様々な経験を積んだりすることを主な目的としています。
新卒募集をする各企業がそれぞれ開催主となり、参加者の募集をするのが主なケース。
まれに複数企業が合同で開催する場合や、インターンシップの斡旋を専門に行う業者がプロデュースを担当するケースもありますが、基本的には1社のインターンシップ参加者募集に対して、定められた期間内を1社に従事する形となります。
<どんな形式のインターンシップがあるの?>
(1)見学や説明をメインとした「一日体験型」から、(2)グループワークをメインとしてロープレや課題解決能力を養う「プロジェクト型」、(3)即戦力発掘の意味合いを重視した「選考直結型」や、(4)1ヶ月〜半年程度の間アシスタントとして実際の業務を手伝う「長期実践型」まで、開催期間や程度は様々あります。
ですが、いずれのタイプにおいても、ただ「参加することが目的」となってしまうと、その後のご自身の成長に結びつくものは何も得られないままで終わってしまうので要注意。
例えば「4年の時の就活で『インターンシップに参加しました』って言える実績のひとつになるから」というような動機で参加すると、その『場所』や『企業』に対して強い就労意欲や目的のある他の学生の皆さんとの間に、大きな差をつけられてしまうことになりそうです。
■関連:「【はじめてのインターンシップ】知って探して参加する。社会に出て成長するチャンスを逃さないで! – WAKUTASU」(http://wakutasu.jp/kodawari/1st-internship/)
これらのことからもわかるように、日本の企業にとっての「人材を“見つける”ためのインターンシップ」は、就活シーズン本格化の前に就業のミスマッチを減らす目的もあります。
学生にとってもそれは同様。
インターンシップとは、企業にとっては学生に就業体験の機会を提供する場であり、学生にとっては様々な経験や企業を見聞きする場であり、日本の学生にとっては「自分に合った企業を“見つける”ため」のものでもあるのです。
滞在型インターンシップのススメ!
では、「滞在型インターンシップ」にはどんなメリットがあるのでしょうか?
■POINT1 <期間は様々!職を探しながら経験も積める!>
前述のように、インターンシップの開催形式や期間は様々です。
海外でのホームステイをしながらキャリアアップを図る「留学型インターンシップ」をはじめ、企業の本社支社近くに連泊しながら就業体験を積む「短期インターンシップ」、1ヶ月から半年程度の期間、企業内に飛び込んでトレーニングを積む「長期実践型」、中には午後から半日という超短時間で企業を見学することのできる体験型もあります。
「滞在型インターンシップ」も、就業に関する様々な経験を積むことのできるインターンシップの一つ。
では、「他のインターンシップと違うところって何?」という問いに答えるならば、それは、インターンシップの中で経験することのできる「体験」のひとつに「そこで暮らす人々の暮らし」や「自分自身の暮らし」が挙げられることです。
「滞在型インターンシップ」では「暮らし」を見ることにも重きを置いており、このため「半日型ワークショップ」のように短時間で行うことができるわけではありません。
短期滞在型の場合は1泊〜。長期滞在型ですと、企業などの用意した宿やホテルなどの宿泊先や寮、現地の人々の家にお邪魔して、ホームステイ形式などによって1ヶ月以上の長期派遣型の「企業実習」を行います。
念のため申し上げておきますと、「滞在型」をうたったプログラムですので、いずれの場合も宿泊先は、開催者側が手配しています。(費用の要不要は各インターンシップによるものの、「宿泊代全額無料」から「一部負担」まで補助は様々)
その土地に「滞在」し、実際の暮らし=「1日の流れ」や「土地や風土」を知ることによって、そういったイメージのギャップを解消し、暮らしを想定した就業体験を送ることができることが、「滞在型インターンシップ」のメリット。
1日働いて、夜帰宅するにはどんな交通手段があり、帰宅したらどんなことができるのか。また、その土地には、自分の知らなかったどんな魅力が隠れているのか?
そういったことに目を向けながらの研修には、たとえたった1泊のプログラムであっても、「実際に見て」「聞いて」「触れる」ことのできる滞在期間の中で得られるものがたくさんあります。
1泊でも2泊であっても「暮らし」を体験できること。
それが、「滞在型インターンシップ」の最大のメリットと言えるでしょう。
■POINT2 <形も様々!実際に就業経験を積みながら自分の長期的な将来像をイメージできる!>
ライフスタイルやワークライフバランスが提唱されるようになって久しい近年、日本では、生きていく上での就労や生活には欠かせない、『暮らし』を実践するタイプのインターンシップが増えています。
海外でのホームステイにも似た形式で行われる「長期滞在型インターン」をはじめ、そこで実際に暮らしてみることを盛り込んだ就業体験は、インターネットでざっと検索するだけでも下記の如し。
・観光インターン
・地域活性型インターン
・地域づくり体験型インターン
「地方創生」の影響もあり、地方都市での「滞在型インターン」が増加しています。
「地方創生」とは、近年の人材や首都機能などの東京一極集中化に歯止めをかけ、地方都市の人口減少を改善し、日本全体の活力を上げることを目的として、2014年から政府が主導で行なっている政策で、地方都市への人口誘致もそのひとつ。
各地方自治体が、その土地の企業とスクラムを組んで、特別の財源枠を組むなどして積極的に取り組んでいます。
国や地方自治体が絡んでいることも理由の一つとして、企業1社が主導の人口誘致型インターンシップに比べると、住宅費用一部補助などの助成や支援がしっかりしています。
財源の兼ね合いもあり、個人個人に支給される助成金の額は決して多くはありませんが、各地方自治体と企業が工夫をこらした支援事業を展開しており、これから就職活動をされる学生の皆さんや現在就職活動中の方々にとっては、上手に活用できれば、社会に出た後の暮らしを更に実りのあるものにできるキーポイント。
また、学生の皆さん自身にも、自分の将来像や仕事と私生活のバランスに対する意識の変化が起こっているようで、日本の大手人材広告企業マイナビが、2017年卒の学生を対象に行った大学生就職意識調査では、2017年3月大学卒業予定者の意識調査の結果、就職観の1位は「楽しく働きたい」で、2位は「個人の生活と仕事を両立させたい」でした。
学生の就職観の1位は前年同様「楽しく働きたい」(29.9%、対前年2.3pt減)で、この十数年変わらず、文理男女すべてでトップ(中略)。
2位の「個人の生活と仕事を両立させたい」(24.5%、対前年0.4pt増)は、13年卒調査から数えて4年連続で増加傾向にあり、特に文系男子では1位に迫る割合となっている。
「ワークライフバランス」という言葉の浸透に伴い、仕事と私生活の両立が就職観としてより重視されるようになってきていると考えられる。(後略)
(引用元:「2017年卒マイナビ大学生就職意識調査」2016年4月27日発表(http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/ishiki/))
仕事と私生活の両立がより重視されるようになった昨今、多くの学生さんが考えるのは、生まれ育った国や土地での就労(Uターン、Iターン、Jターン)や気に入った場所や好きな都市での「有意義で、自分らしい暮らし」なのではないでしょうか?
例えばこんなインターンシップが!
■「高知の農山漁村で「地元の人」と「新しいシゴト」をつくる “いなかベンチャーインターンシップ”」(http://inaka-pipe.net/intern/inakaventure/)
(引用元:「いなか」と「とかい」のパイプウェブ「いなかパイプ」)
■「三陸の企業とつくる地域の未来-第3回「いわて時間」・実践型インターンシップ説明会イベントレポート-」(http://cocolococo.jp/topics/iwatejikan3-report)
(引用元:地方と都市をつなぐ・つたえる「ココロココ」)
岩手県の三陸地域では、2011年の東日本大震災から立ち上がり、多数の企業や団体が新しいチャレンジをしています。
その地域のチャレンジを一緒に創ろう!と呼びかけているのが、上記の長期実践型インターンシップ。
先に挙げた、高知県での「いなかベンチャーインターンシップ」では高知県佐川市に滞在し、地元の方と一緒になって、地域が抱える課題の解決にチャレンジする29泊30日のインターンシップ。
いなか暮らしをしながら、地域とともに自分の力を試すことができます。
このように、大都市を離れた地域での就業には、自身の生涯を通して取り組むことの出来る課題やシゴトがたくさんあり、ライフワークとしての就業も可能と言えます。
あなた自身の豊かな人間性や、一生ものの交友関係を築き上げることもできるでしょう。
都市圏では絶対にできない暮らしや体験を、まずは実際にその土地で試し、その先の人生につなげていくことで、自身の可能性や将来像、今まで知らなかった地方都市の魅力に気づく…。その一連のプロセスを、「滞在型インターンシップ」では味わうことが出来るのです。
そしてもちろん、僕ラボ関連でもこんな地方滞在型インターンシップが!!
■【地方創生】新潟市若者UIJターン促進事業、企業見学ツアーレポート!
http://bokurabo.jp/bokublog/20160916/
■地方滞在型インターンシップレポートin長野【スゴイ!なにコレ!1泊2日ホットな企業見学ツアー】
http://bokurabo.jp/bokublog/20160823/
■POINT3<「知らない土地や地域に関するイメージのギャップ」を埋めることができる!>
「滞在型インターンシップ」では、就職が決まる以前の「インターンシップ」の期間中に、実際にその土地に赴いて就業と暮らしを体験することが出来るため、ESや面接などの本格的な就職活動に入る前にインターネットや雑誌だけではわからない「その土地のホント」を見ることができます。
「実際に行ってみたらこんなとこだった」や「都会に比べて不便そうだと思っていたけど、意外な魅力があった」など、実地で赴いてみることで新たな発見があるかもしれません。
生活のイメージがつくということは、自身にとっての良し悪しを見極めることができるということでもあります。
マイナスのイメージに目を向けるだけでなく、良いところをポジティブに捉えて見方を変えると、新たなビジネスチャンスや成功の鍵もあるかも?
また、「その土地のホント」を知ることよって、自分の将来ややりたいことをもっと知ることもできます。
滞在によって様々なものを見聞きすることで、自分自身にとってのメリットとなる良いところと、デメリットとなる悪いところを洗い出してみてください。
それが自分を知ること、すなわち自己分析にもつながり、自身にとって本当は何が大事で、どんなことを思っているのかを見つめなおすことが出来ます。
「滞在型インターンシップ」を通じて、住み慣れた土地を離れて他の地域に「滞在」することは、あなたにとって自分を見つめなおす良い機会となるかもしれません。
■POINT4<滞在型インターンシップでは、複数社の企業を“体験”するのが主流!>
これまで挙げてきた「滞在型インターンシップ」では、通常のインターンシップではできないことができます。
それは、複数社の企業を見学し、就業体験を行なうことができる!ということ。
多くのインターンシップにおいて、就業体験を行なう企業は、前述の通りに1社のみとなります。
ですが、「地方創生」や各地方自治体とタッグを組んで新卒採用を行なっている企業や「滞在型インターンシップ」事業では、基盤となるもののひとつが「土地」であるため、その土地に所在する企業複数社が連携して新卒者の受け入れを行なっているケースが多くあります。
このため、「滞在型インターンシップ」では、その開催日程の中で3~4社の企業を見学し、ワークショップを行なう形式がよく見られます。
たとえば1泊2日の開催日程のうち、企業見学や研修を3~5社ほど行なって、土地の魅力を発見すると同時に様々な就業体験を行なうことができるもの。
1泊2日で複数の企業を見ることができるのは、忙しい学生の皆さんにとっては魅力的ですね。
■POINT5<参加費用などの補助を見込める場合もある!>
先述の通り、「滞在型インターンシップ」には開催に各地方自治体が名を連ねている場合もあるため、行政の補助や助成が適用となることもあります。
予算によっては「宿泊費全額無料。交通費全額支給」といった太っ腹な企画をしている自治体や企業もあるため、一度探してみると良いかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
昨今人気の「インターンシップ」の新スタイル、本格的な就職活動シーズンに入る前に、一度、時間に都合をつけて参加してみてはいかがでしょう?